木曽檜(ひのき)に代表される豊かな森林資源を有する信州らしい伝統工芸品の木曽漆器。
塩尻市南部に位置する木曽平沢及びその周辺地域で主に生産されており、国の指定する「伝統的工芸品」の品目にも含まれています。
お土産かたがた日常使いする物に木曽漆器を取り入れてみると、木曽路の思い出が蘇るとともに、普段の暮らしもきっとワンランクあがります。
漆器の里、木曽平沢
江戸時代から中山道随一の漆器生産地として栄えてきた木曽平沢。
良質な木材に加え、漆の乾燥に適した冷涼湿潤な気候や、中山道を往来する旅人が手頃なお土産として木曽漆器を買い求めたこと等が、漆器産業の発展に一役買ったとされています。

宿場町として有名な奈良井宿に隣接しており、奈良井宿とは2km程しか離れていませんので、一緒にまわるのがおすすめ。
最寄り駅はJR中央本線の木曽平沢駅ですが、隣の奈良井駅と同様、普通列車しか停車しませんので、電車移動するよりも、散策を兼ねて徒歩で移動した方が良い場合も。
なお、台数は多くありませんが、両駅ともHello Cyclingのステーションがありますので、シェアサイクルを利用するのも良いと思います。


木曽平沢はもともと宿場町ではなく、また、明治以降に大火があったこともあり、奈良井宿ほどの規模ではないのですが、伝統工芸の職人町として重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
ただ、良くも悪くも観光地化しておらず、後述する道の駅を除くと、漆器店以外の店舗は皆無に等しい状況なので、食事等は他所で済ませておくことをおすすめします。
漆器等にあまり興味のない方は1時間も滞在すれば十分と思いますが、漆器好きであれば終日滞在しても飽きることはない、そんな尖がった職人の街です。

木曽漆器の特徴
漆器は高級品で取扱いが難しいというイメージがあるかもしれません。
確かに、輪島塗に代表される蒔絵等の華やかな装飾が施された漆器はそのとおりですが、木曽漆器は庶民の間で日用品として広まった歴史があります。
特に、明治初期に地元で発見された「さび土」と呼ばれる鉄分を多く含む土を下地材に使用し始めてから耐久性が更に向上し、日常使いしやすい商品が多いという特徴があります(なお、電子レンジや食洗機の使用は基本的に不可)。
木曽漆器には様々な塗り技法がありますが、代表的な「木曽堆朱(きそついしゅ)」は色漆を幾層にも塗り重ね、それを研ぎ出すことで独特の斑模様を浮かび上がらせる技法で、特に丈夫とされています。

木曽漆器が世界的に注目を浴びる契機となった1998年開催の長野冬季オリンピックの漆メダル。
伝統的な木材だけでなく、金属やガラス等の異素材にも塗られるようになったことで、漆の新たな可能性が広がりました。

木曽漆器を購入できる主な店舗
木曽くらしの工芸館(道の駅 木曽ならかわ)
木曽平沢駅から2km弱離れていますが、木曽漆器を最初に品定めする店舗としておすすめなのが「木曽くらしの工芸館」。
「道の駅 木曽ならかわ」と同じ建物内にあります。


木曽平沢には数多くの漆器店がありますが、一見客にはやや入店しづらい薄暗い工房兼店舗(漆器は紫外線に弱いため)の個人店が多く、主に自社製品の販売です。
そのため、お目当ての漆器店が決まっていないのであれば、各漆器店の商品を広く浅く扱っているスーパーマーケット的な工芸館でまず品定めをするのが近道というわけです。

工芸館では木曽漆器の販売以外に、木曽漆器に関する各種展示、木曽堆朱の研ぎ出し体験(要事前予約、2名~)、地元ワインや地酒の販売等も行っていますので、時間があまりない場合は、工芸館へ立ち寄るだけでも十分満足できると思います。

木曽平沢駅周辺の漆器店
工芸館でお気に入りの漆器店が見つかったら、木曽平沢の街を散策しながら、各店舗へ立ち寄りましょう。
今回、個性的な商品を手の届きやすい価格帯で制作販売している駅周辺の4店舗をピックアップしてみましたが、それ以外にも魅力的な漆器店は数多くあります。是非、現地で自分の目で直接確かめてみてください。
1店舗目は、まる又漆器店。
長野冬季オリンピックの漆メダルを企画・制作した漆器店です。

過去にセイコーエプソン社と時計の研究開発をした経験から、金属に漆を塗るノウハウを持っていたことが漆メダルのアイデアにつながったとのこと。

珠玉の腕時計はおいそれと購入できませんが、漆塗りのボールペン、瓶栓(ボトルストッパー)や茶筒など1万円程度で購入可能な日用品もありますので、気後れすることなく入店してみてください。
他店舗ではあまり見かけない素敵な商品が見つかるかもしれません。

2店舗目は、春野屋漆器工房。
伝統工芸士で、木曽漆器工業協同組合の現理事長が代表を務める漆器店。
まる又漆器店のお隣にあります。

オーセンティックでありながら、しっとりとした艶感のある色遣いの漆器に特徴があり、昨年開催の第60回全国漆器展の産業工芸品部門で経済産業省製造産業局長賞を受賞しています。


建築物への漆塗りやオーダーメイドの漆塗りの浴槽制作(意外に手の届く価格帯!)にも対応しているとのことで、ご自宅を工事する機会があれば一度検討してみてはいかがでしょうか。
3店舗目は、丸嘉小坂(まるよしこさか)漆器店。
前掲動画内でも紹介されている漆とガラスを組み合わせる技術を開発した漆器店です。



漆硝子の人気ブランド「百色」は万華鏡のような華やかさがありながら、手の届く価格帯のテーブルウェアで、女性用アクセサリー類なども販売しています。
公式オンラインショップも充実していますので、旅程の都合上、実店舗を訪問できない場合は是非ご覧ください。漆器のイメージが覆ると思います。
なお、塩尻市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
4店舗目は、山加荻村漆器店。
店舗は伝統的な外観ですが、料理研究家とコラボした洋食等にも馴染みそうなスタイリッシュなデザインの商品が目を惹きます。
こちらも公式オンラインショップが充実しています。


木曽平沢にある「うるし工房 石本玉水」の制作状況等が紹介されている動画
まとめ
- 江戸時代からお土産の定番だった木曽漆器、今でも色褪せません。