長野県の名産品の一つに信州味噌があります。
味噌の発酵に適した気候や豊かな水資源があったこと等に加え、関東大震災の折、信州味噌が救援物資として首都圏へ送られたところ、美味しいと評判になったことがきっかけで、一層生産が盛んになったようです。
現在では全国味噌生産量の4割以上を長野県が占めており、県内にはマルコメ(長野市)等の大手味噌メーカーもありますが、今回は松本市内のこだわりの老舗味噌蔵2軒をご紹介します。
石井味噌
明治維新のあった1868年創業の石井味噌。*1
松本市美術館から徒歩5分程度の市街地にあるため、観光客の来店も多い味噌蔵です。

創業当初から「天然醸造」「無添加」「国産原料」にこだわった味噌づくりをしています。
信州味噌というと、一般的に淡色(山吹色)の味噌を思い浮かべるかもしれませんが、石井味噌では「三年味噌」という約三年間、桶を移し替えながらゆっくり熟成させたコクのある赤味噌が一番の看板商品で、松本市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
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併設の食事処では、三年味噌を使用した具沢山の「豚汁」をランチ時間帯(11:00~)に食べられるので、是非ご賞味ください。

2日前までに予約をすれば、食前酒からデザートまで発酵づくしの限定メニュー「信州豚ロース御膳」を味わうこともできます。

売店では味噌以外にも、味噌を使った漬物、調味料、お菓子等の関連商品も多数販売されていますので、お土産選びには困りません。
公式オンラインショップの品揃えは充実していますので、店頭で購入して気に入った商品について、後日のお取り寄せで困ることは少ないと思います。
また、味噌を作っている杉桶(古い物では100年以上!)等がある蔵内部のガイドも毎営業日開催しており、英語ガイドも実施しているため、訪日観光客にも人気があるようです。
時間の都合上、現地で味噌蔵見学ができない場合は、こちらの動画をご覧ください。
なお、松本市の湧水が日本の名水に選ばれていることは別の記事でご紹介していますが、石井味噌の敷地内にも天然の湧水があります。

大久保醸造店
1905年(明治38年)創業の大久保醸造店。*2
松本市街から若干離れていますし(松本駅から約4km)、石井味噌のような併設の店舗や食事処もなく、ひっそりと直売をしているだけなので、車でないとわざわざ訪問しづらいのですが、知る人ぞ知る蔵元です。

国産丸大豆を使った天然醸造を行っている蔵元で、味噌のほかに醤油も製造しています。
一般に醤油は海沿いの地域(千葉県、兵庫県など)で生産が盛んで、内陸の長野県はそれ程生産量の多い県ではないのですが、大久保醸造店は醤油でも知名度の高い蔵元です。
有名な蕎麦店や料亭等でも採用されているとのことで、松本市内では浅間温泉の「松本十帖」等が使用しているようです。
信州味噌と言うと、通常は米麹を使用した米味噌ですが、大久保醸造店の看板商品の一つ「信州田舎みそ」は麦味噌。
麦味噌は主に中国・九州地方で生産・消費されており、米味噌よりも淡色であっさりとした甘口が特徴と言われていますが、「信州田舎みそ」は甘さ控えめな赤味噌。

醤油の方は、濃口、薄口、白醤油、再仕込み醤油のラインナップがあるほか、2021年度「おもてなしセレクション」で金賞を受賞した「梅しょうゆ」という醤油加工商品も製造販売しており、蔵元訪問の最大の魅力は全商品から選べるところ。
この点、公式通販サイトでは味噌・醤油とも一部商品のみの取扱いですが、お取り寄せは一応できます。
ただ、前出「松本十帖」にもかかわっている雑誌・自遊人の運営している通販サイト「オーガニック・エクスプレス」でも、大久保醸造店の味噌・醤油の取扱いがあり、こちらのサイトの方が情報充実しているのはご愛敬です。
まとめ
- 昔も今も信州味噌は美味です。