まつもあガイド

松本を再訪したくなる、そんなガイド記事を書いています

民芸の街、松本

松本は民芸で有名な街ですが、その民芸を根付かせた第一人者が、松本出身の丸山太郎(1909~1985)。

丸山は、柳宗悦(やなぎ むねよし)らによって開館した日本民藝館(東京都目黒区)を訪問して感銘を受け、以降、民芸運動に傾倒するようになりました。丸山は、それまで美術品として評価されなかった無名の職人達の手仕事による日用品(民衆的工芸品)に、実用性と美しさの融合した「用の美」を見い出し、国内外の民芸品を数多く収集するとともに、自らも民芸品の制作に携わっています。

丸山が生涯で収集した民芸品は6000点以上にも及ぶとのことですが、その一部を丸山が地元に開館した「松本民芸館」で見ることができます。*1

 

松本民芸館について

松本民芸館は、松本駅から北東方向へ約3.5km、中心街からやや離れた閑静な住宅街のなかにある、2階建の蔵造りの博物館です。

松本民芸館

 

  • 開館時間 9時~17時(最終入場16時30分)
  • 休館日 火曜(休日の場合は翌平日)、年末年始
  • 観覧料 大人500円、中学生以下無料

 

風情のある雑木林の前庭

一般的な観光ガイドブックではあまり大きく取り上げられておらず、松本中心街からの公共交通機関のアクセスもそれ程良くないため、観光客の少ない穴場ですが、民芸品に関心のある方にはおすすめの博物館です*2

バスは30分に1便程度

 

展示品の見どころ

松本民芸館の展示品は、箪笥(たんす)、行李(こうり)*3、陶磁器、ガラス製品、織物、玩具など多岐にわたります。

ただ、民芸運動の思想「用の美」のとおり、いずれも観賞用の作品ではなく、日用品として実際に使われていた品物のため、傷があったり、色がくすんだりしています。

真ん中に鎮座するブサ可愛いシーサーも丸山コレクション

民芸館の建物自体にも趣があります

また、一般的な博物館では当然にある、展示品に関する詳しい解説等もほぼないため、丸山の言葉を借りるならば、「無言で語りかけてくる物の美」を感じてみましょう。

なお、展示品の撮影は自由にできます。

丸山太郎の本人作「卵殻貼柏盆」

現在も営業中の「女鳥羽そば」の手提げ袋等(丸山太郎作)

 

チケット売り場の前では、民芸品のレプリカ等お土産になりそうな物を少しだけ販売しています。

民芸館らしく手頃な価格ですが、もう少し本格的な民芸品のお土産が欲しい場合には、丸山ゆかりの「ちきりや工芸店」をのぞいてみましょう。

 

丸山ゆかりの「ちきりや工芸店」

丸山は、松本民芸館のほかに、国内外の民芸品を販売する「ちきりや工芸店」を創業しており、このお店は中町通りで現在も営業しています。*4

 

 

各地の陶磁器(愛媛の砥部(とべ)焼、大分の小鹿田(おんた)焼、島根の出西(しゅっさい)窯など)、琉球ガラス製品、染色工芸家・柚木沙弥郎(ゆのき さみろう、1922~2024)の図案による型染布の額、アジアの竹かご等、様々な民芸品が所狭しと陳列されています。


www.youtube.com

 

松本民芸館の見学後に立ち寄ると、ついつい色々な物が欲しくなりそうです。

ちなみに、ちきりや工芸店の包装紙や手提げ袋も、勿論、丸山デザインです。

 

まとめ

  • 松本で日常のなかにある美に触れてみましょう。

 

*1:昭和58年に丸山から松本市へ寄贈されており、現在は松本市の管理運営する博物館です。

*2:松本バスターミナルから美ヶ原温泉行バス「松本民芸館」下車、徒歩約3分。

*3:竹や柳等を編んで作った入れ物。

*4:OPEN 10:00~17:30〔火・水曜定休〕