旧松本市街を散策していると、水の流れる音がしばしば聞こえてきます。
この一帯は昔から数多くの井戸・湧水(まつもと城下町湧水群)があり、環境省の「平成の名水百選」にも選ばれています。
今回は市内観光のついでに、立ち寄りやすい湧水5選をご案内します。
なお、湧水は無料ですが、マナーを守って大切にご利用いただき、水質検査表の掲示されている湧水でも、体調がすぐれない場合や、水が濁っていたり、異臭を感じる場合などは飲用を控えてください。
おすすめの湧水5選
源智の井戸
一つ目は、最も有名な湧水「源智(げんち)の井戸」。
松本市の特別史跡に指定されており、中町通りや松本市美術館から立ち寄りやすい場所にあります。
江戸時代に著された書物「善光寺道名所図会」のなかでも、当国第一の名水と称賛されていた湧水とのことですが、現在でもその名水を求めて、市内外の方々が水を汲む光景を見られます。

日本の平均的な水道水は硬度50mg/L程度の軟水(なお、松本市の管理する井戸も概ね硬度50~100mg/L程度の軟水)と言われていますが、源智の井戸は硬度150mg/L*1の中硬水。
一般に硬度が高くなるほど、カルシウム等のミネラル分が増え、運動後の水分補給に向いているものの、風味にクセも出てくるため、硬度の低い水の方が万人受けはしやすい、と言われています。
色々と飲み比べて、自分好みの湧水を探すのも面白いと思います。
大名小路井戸
二つ目は、松本城近くの大名町通りに面した「大名小路井戸」。
こちらの湧水は、硬度76mg/Lの軟水、pH7.2の弱アルカリ性で、松本市街の湧水としては平均値的なバランスのとれた水質です。
歩道脇にポツンとあるだけで見過ごされがちですが、松本城の観光前後でのどが渇いたときに、湧水で一休みしてはいかがでしょうか。

松本神社前井戸
三つ目は、「松本神社前井戸」。
松本城と旧開智学校という二つの国宝の間に位置する松本神社前にあります。
こちらの湧水は、硬度7mg/Lの超軟水、pH8.1の弱アルカリ性で、源智の井戸とは水質が正反対です。

深志の湧水
四つ目は、松本駅お城口(東口)にある「深志の湧水」。
観光途中に湧水を見損ねて、松本駅まで戻ってきてしまったときの最後の砦。
こちらの湧水は、硬度60mg/Lの軟水、pH7.2の弱アルカリ性なので、大名小路井戸とほぼ同じような水質です。
ロータリーの北寄りにあるため、やや分かりづらい場所ですが、人通りはそれなりにあるため、ここで水を汲んで飲むのは少々勇気がいるかもしれません。

女鳥羽の泉
五つ目は、観光スポットから若干離れますが「女鳥羽(めとば)の泉」。
松本市が管理する井戸ではなく、旧松本市街で唯一となった酒蔵「善哉(よいかな)酒造」の軒先にある湧水です。

こちらの湧水は、「城下町の湧き水」という名称でミネラルウォーターとして商品化されており、松本市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
日本酒の仕込み水として利用されている湧水なので、焼酎等で晩酌する際の水割りやチェイサーにも適していそうです。
また、同じくふるさと納税の返礼品となっている「松本サイダー」も、女鳥羽の泉の水を使用した商品です。
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番外編:アクアスポットswee
湧水ではないのですが、松本市ではゼロカーボンの取組みの一環として、マイボトル専用の無料給水機「アクアスポットswee(スウィー)」を観光案内所や松本市立博物館等、市内数か所に設置しています。
「アクアスポットswee」をご利用ください! - 松本市ホームページ

信州大学の開発した浄水機能素材「信大クリスタル」をsweeには搭載しており、水道水に含まれる地域固有のミネラル分を活かしつつ、さらにおいしくなった水を楽しめる、との触れ込みです。
なお、備え付けの紙コップ等はございませんので、マイボトルまたはそれに代わる物を適宜ご用意ください。
まとめ
- 街歩きで喉がかわいたら、松本のおいしい湧水で一休みしましょう。

*1:松本市の令和6年度水質検査結果